【暗記と理解】
結論から言いましょう。
暗記しないとどうにもならないところもあります。
暗記だけじゃどうにもならないところもあります。
暗記すべきことは暗記する。理解するところは理解する。
今自分がやっているのはどちらなのかを明確に認識しておく必要があります。
例えば、「歩く」という言葉を聞いたときに何を思い浮かべましたか?
足を左右交互に前に出して、移動していく人の姿ですよね。
では、なぜ「歩く」という言葉でそれを思い浮かべたのか。
それは、「歩く」という言葉がそういう動作を表す日本語だと覚えているからです。
なぜその動作に「歩く」という言葉が使われているのか、そこまで考えなくても常識的に知っていることです。
英語でも、”walk”という単語を見たときに誰かが”walk”している様子が思い浮かぶ。
それは”walk”という単語を知っているからです。
なぜ”walk”というのかは知らなくても、”walk”の意味は分かります。
では”thigh”という単語を見て何を思い浮かべますか?
まず「どう発音するんだよ」って思ってくれてOKです。大学入試で発音の問題に出てくることがあるくらいで、普段中高生はあまり目にしない単語です。意味は各自調べてみてください。多分、考えてもかすりもしないでしょう。
これが、知らないとどうにもならないものです。
では、暗記だけじゃどうにもならないものは?
He ( ) to the station every morning.
① walk ② walked ③ walks ④ walking
答えは簡単、③ですね。
では、③という答えにどうたどり着いたか。
動詞の形が問われている問題である→④は現在分詞が単独で動詞のところに入ることはできないので、ダメ。
every morningというところから現在時制である→②は過去形なのでダメ。
主語はHeなので、三単現のsが必要→③の方が正解。
細かく言えば、このような思考過程をたどっているはずです。
ここでは、”walk”がどんな意味だろう?という話は一切出てきていません。
ここで必要なのは、文法の理解であって、単語だけの暗記では解けません。
【文法も暗記?】
上で、「三単現のs」と書きましたが、「三人称単数の主語で現在形のときは動詞にsがつく」というルールも、結局は習ったことを覚えているかどうかですよね。
理解した知識と暗記した知識の違いは何だとか考え出すと眠れなくなるので深入りは避けますが、文法も基本的には知っているかどうかです。
「彼女が来たら会議を始めよう。」
We will start the meeting when she ( ) here.
① will come ② came ③ comes ④ come
さて、高校生なら解けてほしい。中学生なら考えてみてほしい。
彼女はまだ来ていないのだから未来の話か?「来た」ってことは過去形か?彼女は今来ているところだろうから現在の話か?特殊な形っぽいから動詞の原形というのもありえるか?
答えは③、「時や条件を表す副詞節の中では未来のことも現在形で表す」という文法ルールがあるからです。
これは、このルールを知らないと解けない問題です。
偶然③を選んだ人、「解けた」って言わないでくださいね。それは「当たった」です。
そもそもこのルール、古い英語では現在形ではなく原形を使っていました。
シェイクスピアの名著『ロミオとジュリエット』に次のような有名な言葉が出てきます。
” If love be blind, it best agrees with night.”
訳すなら、「恋が盲目だと言うのなら、夜にこそふさわしい」といったところでしょうか。
この”be”、今では現在形で表されています。
それは、ネイティブの人たちの間で「現在形の方が自然なんじゃないか?」という感覚で、だんだんそういうルールが浸透していったからです。
考えてもまずたどり着くようなものではありません。
ですから、これも知らなきゃどうしようもないと言っていいでしょう。
【じゃあ理解って何?】
「時や条件を表す副詞節の中では未来のことも現在形で表す」を100回唱えて、早口言葉みたいに暗記したところで、上の問題は解けません。
「時や条件って?」「副詞って?」「節って?」「このwhenは時や条件を表す副詞節を作る接続詞なのか?」いろんなことを考えなければなりません。
それらについて説明ができるのが、理解です。
暗記した知識をどこで使うか、この問題は何を求めているのか、そういったところが見えないと、問題には対応できません。
意味を理解していない暗記は、ただの音とか絵です。
英語に限ったことではありません。
社会の用語や数学の公式など、意味も理解せず覚えたところで何にも使えません。
よく定期テスト前に呪文のように暗記して一夜漬けで乗り切る人がいますが、受験を考えたときにどれほど意味があるのか。
ただ暗記せず、意味を理解する。そしてそれを定着させるために繰り返す。完璧に理解し定着した知識は、時間をかけて考えるまでもなく答えが見えるようになります。