秋になると推薦入試などで小論文をの練習を始める人が増えてきます。うちでも毎年数名が、推薦なり後期なり何らかの形で小論文を使うことになります。

ただ、小論文の書き方が分からず、とりあえず字数を埋めてみましたという答案が大量生産されます。今回はそんな答案の「ダメなところ」を挙げてみようと思います。

①【「論」になっていない】

小論文は、自分の考えをいかに論理的に伝えるかが重要です。

例えば「死刑制度の是非について述べよ。」という問題でよくあるダメ答案の例。

「死刑制度は必要だと思う。殺人のような重大な犯罪を犯した者を許すことはできないし、命で償わせるのは当然のことだ。」

これで終わってしまう答案は、下の下です。結論をはっきり言っている点を評価して甘々採点してあげれば下の中…ないか。

なぜかといえば、これは「論」ではないからです。採点者がこれを読んだときに何を感じるかというと、「で?なんで?いやそれただの君の感想じゃん」です。

「なるほどね」と思わせる話の流れ、「そういう根拠があるからこの結論になったんだね」という納得感が必要です。

作文や感想文とは違うので、「考え」を深める文章を書きましょう。

②【書けるネタがない】

そもそも問題に答えられるだけの最低限の知識がないと、800字や1200字といった指定字数を埋められません。

例えば死刑制度ではどのようなことが論点となっているのか、ポイントをいくつ挙げられますか?

冤罪のリスク、国際的な批判、遺族感情、犯罪抑止効果などなど…

ただ知っていることを書きまくればいいわけではないので、ネタ数だけふやしてもしょうがないんですが、最低限のネタ数はないと苦労するでしょうね。

せめて、過去問の傾向を調べてどういうテーマが出されやすいかを調べる、自分が志望する学部・学科に関連するニュースや時事用語はチェックしておく、ぐらいはしておきましょう。

③【型の濫用】

某小論文大御所講師の方が指導している「型」というものがあります。これ、小論文を書いたことがない人が見ると、「全部この型でいけるやん!楽勝やん!」と思えてしまうんですよね。

ざっくりいうと、「~だろうか。確かに~。しかし~。」という流れです。

これを濫用するとどんな悲劇が起こるのか。

「死刑制度は必要なのだろうか。確かに、死刑制度には冤罪の場合に取り返しがつかないという批判がある。また、欧州など諸外国から、日本の死刑制度は人権侵害だと批判されているという現状がある。しかし、重大なルール違反を犯した者を社会から排除するのは、社会の安全を守るために必要な措置である。よって、死刑制度は必要である。」

これを読んで「確かに死刑制度必要だね!」と思った人。

「死刑制度は必要なのだろうか。確かに、重大なルール違反を犯した者を社会から排除するのは、社会の安全を守るために必要な措置である。しかし、死刑制度には冤罪の場合に取り返しがつかないという問題がある。また、欧州など諸外国からも日本の死刑制度は人権侵害だと批判されているところである。よって、死刑制度は廃止すべきである。」

これを読んで「確かに死刑制度廃止した方がいいね!」と思いませんか。

この2つの例文、内容そのままに順番を変えただけです。

型の濫用の危険性、伝わりますかね?

自分の論拠が全く深まっていない。反対の立場からの批判に全く反論していない。そのくせ何となく小論文ぽく見える。

こんな感じで字数をしっかり書いてきても、いい評価はもらえません。むしろ、採点者はこういう量産型のダメ答案を見慣れているので、「あぁ、また犠牲者が…」とがっかりします。

④【表現が幼稚】

A「死刑にしてしまうと、冤罪だったときにもうどうしようもない。」

B「冤罪の場合、死刑が執行されてしまうと取り返しがつかない。」

A「ひどい犯罪をした人が周りにいるのは、社会のみんなにとって怖いことだ。」

B「市民生活の安全のため、重大な罪を犯した者を社会から隔離する必要がある。」

どっちの人に大学に来てほしいかと言ったら一目瞭然ですよね。

友達と世間話をしているわけではなく、学問をやっていこうという人を選抜しているのですから、そういう世界でやっていけるだけの素養はありますよというアピールをしていきましょう。

⑤【薄い根拠】

「ネットでこんなこと書いてあるのを見た」

「有名な人がテレビで言っていた」

「周りの友達がみんなこう言ってる」

こんな話は小論文の根拠になりません。「人が言ってるから」に自分の思考は一切含まれていません。

 

いかかでしたか。

思い当たるものがある人はぜひ参考にしてください。