2021年1月30日実施 第1回共通テスト第二日程 漢文『墨池記』

文責:宮崎県都城市の学習塾 個別指導塾Ace

王義之の書は、晩年のものこそ素晴らしい。

つまり王義之は、まさに努力を積み重ねて自らその域に至ることができたのであって、天賦の才によってそうなったのではない。

しかし、後世にいまだ王義之に並ぶものがいないのは、その学びの姿勢が王義之に及ばないからではないか。

つまり、学ぶ努力はどうして怠ってよいことがあろうか、いや、怠ってはならない。

ましてや深く道徳を修めようとするものならばなおさらだ。

墨池のほとりは、今は州の学校となっている。

教授である王盛は、この墨池の跡が忘れられてしまうことを心配し、「晋王右軍墨池」の六字の書を建物正面の大きな柱に掲げた。

また私に、「このことについて記してほしい」といった。

王盛の心を推察するに、人の長所を大事にして、一つの才能だけでも捨てないで、そうして王義之に並ぶような者を育てたいのではないか。

また、この墨池の故事を示して、学舎で学ぶものたちに努力を促したいのではないか。

そもそも(王義之のように)、一つの優れた能力を持つ人が、後世の人に尊ばれることはこの通りである。

まして仁愛の徳を備えた人や行いの立派な者による感化であれば、後世の人々が受ける影響はどれほど大きいであろうか。